最新情報2002.03卵子提供

卵子の若返りは本当に可能なのか?

最近日本で行われた「卵子の若返り」の実験が大きな反響を呼んでいます。卵巣の機能低下があった女性、あるいは高齢の女性の不妊の原因として、卵子の外側部分である細胞質の老化が挙げられていたため、その女性の遺伝情報を持つ核の部分だけを使用し、外側部分は年齢の若い女性の卵子を使うことで「卵子の若返り」を試みるのがこの方法です。

日本では、この実験が今現在話題を呼んでいますが、アメリカではすでに数年前に同じ事が行われているだけではなく、それから多くの実験ケースが研究の対象になってきました。この技法にブレークスルーがないためか、受精率も一向にあがらず、更に二人の異なる女性のミトコンドリアが混在することが確認されるなど、その安全性と臨床応用の可能性がはっきりと疑問視されています。

もちろん、この手法が確立されるような日が到来し、安全性と、可能になった場合そのような卵子から出生する子供が正常であることが確認できる日がくれば、こんな素晴らしいことはないわけです。しかし、アメリカの医師達は、アメリカの先端技術と研究チームを使っても、今後少なくとも10年は臨床応用に至らないだろう、と確信しています。当初の期待が大きかっただけに、落胆するアメリカの女性が非常に多かったことがとても残念でした。

新しい技術を研究するため、実験に参加するその心意気は素晴らしいものであり、そのような心意気がなければ技術革新は有り得ません。しかし、これはあくまでも実験段階。今現在お子さんを望んでいらっしゃる方たちが、この「卵子の若返り」がご自分のケースに適用されるまで待っていらっしゃったのでは、一度しかない人生の中で、お子さんを授かる可能性を追求できる時期を逃してしまうことになりかねません。

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