最新情報2015.09卵子提供

辛かった不妊治療を乗り越えて: 卵子提供プログラムに切り替えるタイミングは?

女性の身体というのは本当に繊細ですから、どんなに医療技術が進んでも、神秘のベールに包まれている部分が多く、明確な答えが出ないことも多々あります。

『赤ちゃんが欲しい』という強い想いでずっと頑張ってきた不妊治療。いつまで自分の卵子による治療を続け、どの段階で卵子提供プログラムを視野に入れるべきなのか?

『自己卵子に可能性があるなら諦めたくない。でも治療を長引かせてしまって、卵子提供プログラムでさえもチャンスを失うのは嫌だ。どうしたらいいの?』そんな悩みの声が聞こえてきています。

個人差も当然ありますから、その疑問に対して100%白黒はっきりさせる一般的な答え、というのはありません。しかし、『一般的な目安』はあります。米国では以下の『いずれかに当てはまったら卵子提供プログラムを視野に入れる』ことを指導されています:

■FSHやAMHの数値で閉経近いと診断されたとき:

FSH値は、月経周期第三日目の数値でなければ、卵子の生殖力を測る数字は出ませんので、タイミングを間違えずに確認することが肝要です。

AMH値は、月経周期のいつの段階で計測してもかまいません。

上記両方、あるいはいずれかの数値にて、「閉経が近い」あるいは「40代後半相当の数字」といった結果が出てしまったときは、卵子提供プログラムが視野に入ってきます。

FSH値を下げる、という治療法を薦められることもあるようですが、これは単純にホルモン値を変動させるものであって、一旦老化してしまった卵子の質を向上させることには役立ちません。よって直接的に自己卵子による妊娠率を上げるものではないとされており、米国では、この類の治療は薦められていません。

■年齢が45歳以上になったとき:

加齢と共に妊娠率が下がるという事実が統計で証明されています。米国では、自己卵子によるIVF治療の終了を、その女性の満45歳の誕生日、という目安を立てています。これは、全米の統計により、満45歳の段階で、自己卵子によるIVF治療の結果として健康なお子さんを出産する確率が、限りなくゼロ%になることがわかっているからです。

■採卵サイクルを5回以上終了したとき: 

同じく米国では、自己卵子による採卵サイクルを医師と共に詳細検討し投薬内容を一回ごとに変更するなど全力を尽くす中で3回繰り返して芳しい結果が得られない場合に卵子提供プログラムを視野に入れ始め、5回目までに自己卵子による結果が出なかった場合、卵子提供プログラムに踏み切る患者様が多いようです。

■ CCS(着床前全染色体診断)同時実施サイクルを3回終了したとき:

最近では、CCS(着床前全染色体診断)を自己卵子による体外受精治療で同時に受けていただけるため、最初からCCSを実施し、自己卵子由来の受精卵の染色体異常の状況を把握することができるようになりました。

加齢などによる原因から卵子の老化が進むと、それに比例して染色体異常の受精卵の比率が高くなることがわかっており、そのため、正常な受精卵が得られた場合は、自己卵子による治療を続け、そうではない場合は終了する、という決断も早めにできるようになりました。

CCS実施の場合は、そのような明確な情報が得られるため、3回の採卵サイクルを実施しても結果が出ない場合、自己卵子による治療を断念する傾向にあるようです。

特に、40歳以上の女性の場合、せっかく卵子が得られても、卵子そのものの老化により、その女性の卵子由来の受精卵に、染色体異常が起こっている確率が大変高くなってしまいます。自己卵子による治療を完全に諦める前に、自己卵子由来の受精卵に染色体異常がどの程度出るのかを確認して現状を明確に把握するため、CCS同時実施による自己卵子体外受精サイクルが有効となります。

自己卵子IVFにおけるCCS実施、並びに卵子提供プログラムについてのお問合せはこちらからどうぞ:

関連情報