卵子提供体験談2011.05体験談

『40歳半ばを過ぎた私達夫婦に授かった子供と希望に溢れる未来』卵子提供プログラム体験談

私達夫婦がIFCさんに卵子提供プログラムをお願いしたきっかけは、書店で川田さんの著書を手に取ったことからでした。

十回を超える体外受精も結果が出ず、書店に行っては不妊治療の本を探すのが日課のようになっていた頃で、私は認めたくはないものの、もう無理かもしれないと思い始めていました。そんな時にIFCさんの卵子提供プログラムを知ったのです。卵子提供までは考えたくないと思う一方、治療が実らなかった時にはこういう方法もあると、希望が湧いてきたことも確かでした。

はじめはやはり卵子提供という決断はできませんでした。私と遺伝的につながりのない子を持つということがどういうことなのか、考えても考えてもよくわかりませんでした。産んでしまってから後悔するのではないか、可愛いと思えなくなってしまうのではないかなど、マイナスのことばかりが気になってしまい踏み出せずにおりました。それでもとりあえずはIFCさんのお話しを聞いてみるだけでもと思い、御連絡をしたところ、ちょうど日本に来られていた川田さんにお会いすることができたのです。これも本当に何かの縁だと思いました。

私達が決断できたのは、川田さんと直接お話しできたことがとても大きかったのです。川田さんは「卵子は提供を受けても、それだけでは子供は産まれない。お腹の中で育んであげなければいけない。それこそがお母さんです。」という意味のことを言われました。私はその言葉を聞いてから次第に迷いがなくなっていきました。 

それから約3ヶ月後に初回の渡米、その約8ヶ月後に2度目の渡米となりました。そして帰国して1週間後、妊娠判定は陽性、その後幸いにも順調な妊婦生活を経て無事出産することができました。川田さんに初めてお会いしてから約1年8ヶ月後のことです。

IFCの皆様には本当にお世話になりました。思い返してみると、この間本当にいろいろなことがありました。順調なことばかりではなく、最初にお願いしたドナーさんがキャンセルになってしまったり、次にお願いしたドナーさんも採卵前の検査結果により予定していた周期が延びてしまったり、足踏みしてしまうこともありました。

その度にIFCのスタッフの方にまるで愚痴のようなメールをお送りしてしまったのですが、大変丁寧に、親切に、そして迅速に対応して頂きました。最初のドナーさんがキャンセルになった時も本当に早く対応頂き、またすぐに次のドナーさんも決めることができました。IFCさんとのメールのやりとりに関してはとても感謝しています。頂いたメールは120通を超え、こちらからお送りしたメールも100通近くとなりました。いつも私達の気持ちに寄り添って頂いている実感があり、妊娠してからは頻繁なメールが要らないことが寂しいくらいでした。

また、サンフランシスコ滞在時も2回共スタッフの皆様のおかげで本当に安心して終えることができました。特に2度目の渡米時は10日間あまりになる為、小さなキッチンの付いたウィークリーマンションを借りたのですが、借りる際や精算時などいろいろな折衝をして頂いたり、近くのスーパーマーケットを教えて頂いたり、とてもお世話になりました。おかげでサンフランシスコでのちょっとした生活を楽しむことができました。

また、滞在時はドナーさんの採卵を待ち、受精を待ち、受精卵の成長を待ち、といった気が気ではない毎日でしたが、サンフランシスコという海に面した穏やかな地だからこそ気持ちにゆとりを持って過ごせましたし、あちこち観光をしてまわることで気分転換ができました。 

クリニックでの付き添いも本当にご親切にして頂きました。渡米するまでは不安も大きかったのですが、全て付き添って下さいましたし、電話での連絡も頻繁に下さったり、また滞在中の困ったことなども相談させて頂きました。安心しておまかせできましたし、とても心強かったです。本当に感謝しております。

それから、やはりドナーさんへの感謝です。強い意志のもとにいろいろと行動も制限し、注射を毎日打ち、きちんと検診を受けて下さったからこそ、良い結果を得られたと思っています。ドナーさんと私のサイクルを合わせて毎日注射をしていると、お会いすることは無くてもなんだか一緒に歩いている、まるで家族のように思えたものです。そして私が日本で採卵していた時は良くて2個、大半は採卵しても空胞でしたが、ドナーさんの採卵数は12個、そのうち非常に良好な胚が数個できたのです。そのうちの1つを移植して頂いた結果、とても幸せなことに妊娠することができました。これまでの結果の出ない何年もの治療がうそのようでした。

ただ、手放しでは喜べませんでした。今度はちゃんとお腹のなかで育ってくれているのかどうかの心配が始まったのです。

自己卵子ではないことで、何か妊娠継続や出産時への影響があるのではないかという不安が少しありましたが、ハーバート先生の何も問題ないというお話を伺えたので心配しませんでした。むしろ元気な卵子だったからきっと大丈夫と思えたのです。それでもどんな妊婦さんでも同じかと思いますが、胎児が元気に育っているのかどうか、とても心配なものです。

妊娠初期は出血も続き、そろそろ心拍が確認できるという診察の日に、心拍確認ができませんでした。この時のショックは本当に忘れられません。でもその1週間後、小さな小さな心臓が確認できたのです。強い生命力を感じました。それからも不安は続きました。胎動を感じるようになってからは長時間動かないと不安になりますし、本当に産まれてくるまでは安心できないものです。それでもやはり、10ヶ月間私の中に子供がいるという今まで味わったことのない、特別な幸福感の中で妊娠生活を送ることができました。 

出産は想像以上に大変なものでしたが、子供を産むということを経験できてとても幸せでした。病院の先生からは、高齢の為分娩中に問題がおきた場合は無理をせずに帝王切開をするけれど、本来身体というものは自然分娩ができるようになっているからとおっしゃって頂き、年齢やもちろん卵子提供ということに対しても全く分け隔てなく診て下さいました。結果、難産になることもなく自然分娩で産むことができました。現在子供は、順調に成長しています。最近は声を出して笑うこともあり、可愛くて仕方がありません。こんなにも愛おしい存在があるものかと驚いています。とても長い間待ち望んで授かった子供ですから、一日一日を大切に、ゆっくり育てていきたいと思っています。

プログラムに入る前の、卵子提供ということに対する迷いは全く無くなりました。私のお腹の中で育ててきた子供は何の違和感もなく私の子供です。遺伝的な繋がりが無いことを私自身どう感じるのかということが一番の心配でしたが、お腹の中に授かった瞬間からそんなことは何も気にならなくなり、むしろそれ以上の心の繋がりが築けるようにさえ思えるようになりました。

どうしても子供が欲しくて悩んでいらっしゃるご夫婦には、心からお勧めしたいです。子供を抱くということ、しがみついてくる子供におっぱいを飲ませること、おむつを換えること、泣いたり笑ったりする子供に付き合うこと、毎日成長する子供と一緒に日常を過ごすこと、出産も育児も想像以上に大変ですが、何事にも代え難い素晴らしい経験であることを実感しています。なにより40歳半ばを過ぎた私達夫婦に、大切な子供と、希望に溢れる未来を授けて頂いたと思っております。

IFCの皆様、ありがとうございました。心から感謝しております。そして、ドナーさん、ハーバート先生はじめPFCの皆様、カウンセリングをして下さったカズミ・ハートさん、日本での産科の先生、皆様に感謝しております。ありがとうございました。