代理出産体験談'04〜'00体験談

関東甲信越地方のT様

私には年の違う2人の子供がいます。2人とも卵子提供及び代理出産によって授かった子供達です。 

私達は結婚5年目の時に、私の子宮体がんという悲劇に襲われました。
がんは進行していたため子宮全摘出、卵巣もがんの一歩手前ということで両方共摘出しました。手術の前に「代理出産」というシステムを耳にしていた私は卵巣だけでも残しておけば私の子供が産まれてくる可能性があると思い、卵巣を残して欲しいと切望したのですが、ままなりませんでした。
あとで知ったことですが、私の希望を知っていた主治医が手術中、主人に「もし、彼女が私の妻ならば私は迷わず卵巣を摘出します。そういう状態ですが、どうしますか?」という言葉で主人も卵巣摘出を決意したそうです。

手術後、子供をもつ夢を諦めきれなかった私達はすぐに卵子提供、代理出産をお願いできるところを探しました。そのころはまだIFCを知らなかったので、他のエイジェントにお願いしました。そして、幸運にも最初に会った代理母が1度目の移植で妊娠しました。

上の子供は産まれた時、双子でした。極早産だったため双子のうち1人は産まれてまもなく亡くなりました。さらに、未熟児だったために保育器に長い期間入ったり、手術を受けたりと病院の医療費がいくらになるか検討がつかない状態が続きました。(アメリカでは医療費の請求すぐには来ません。)何千万になるか、あるいは億になるか解らない状態が続いたのです。私達は子供を亡くしたショックと経済的な不安で胸が押しつぶされる思いがつづきました。
幸い1人の子供は小さいながらも元気に成長していたので、それが唯一の救いでした。2年後、幸運にも医療費については私達が支払える範囲の額で決着がつき、これで平温な生活が送れると喜びました。

 私達は子供達にすべてを話していくつもりです。子供達がどのように産まれたのか、どんな人のお腹から生まれて私達がどれぐらい心配し、そして待ちこがれていたかを・・・。
私は現在、仕事をしております。周りの同僚や上司もみんな私の事情を知っていて、子供が産まれた後、育児休暇も取りました。けれども日本の社会の中で子供に代理出産のことを教え、子供が理解し、そして周りに理解してもらうのは大変なことです。すべてを話すことによって子供は悩んでしまうかもしれない。私達ではその悩みを拭い去ってやれないかもしれない。そう思っていた時、同じ境遇のきょうだいがいたらどんなに心強いだろうと思ったのです。そして「2人目を・・・」と思い始めました。

2番目の子供が生まれるまでも困難の連続でした。前回双子の早産・1人の赤ちゃんの死という悲しいことがあったため、私達は妊娠中のリスクや早産・未熟児の危険性を危惧し、双子以上を望みませんでした。元気で満期産で生まれる赤ちゃんが1人いれば充分でした。まして、命を懸けて産んでくださる代理母の身になにかあったらと思うと絶対に双子以上は避けたかったのです。そのため減数手術を承知してくれる代理母を捜さなくてはなりませんでした。

そして、ある代理母と出会いました。彼女は一旦減数手術に承知してくれたのですが、いざ双子の妊娠が解ると減数を承知してくれなくなりました。そして、またも流産、代理母とのトラブル・・・。なぜ、神様は私達の前にこんなにも障害を置くのだろうと思いました。

こんな事があっても、私達は赤ちゃんを諦められませんでした。上の子供を望んだのは私達が親になりたかったからですが、今回はその子供のために・・・という思いが強かったために諦めきれなかったのかもしれません。そして「これが最後」と思い、出会ったのが下の子供の代理母でした。彼女は彼女自身が双子以上を望まない女性だったので、私達の希望にも合っていました。最初に彼女夫婦に会った時、いままでの私達に起こった出来事をお話しして、私は思わず涙ぐんでしまったのですが、その話を聞いた彼女も一緒に涙を流してくれました。私達の気持ちを理解してくれる彼女に私達の子供を産んでもらいたい!と思いました。

彼女は1回目の移植で見事着床し、それも1人の赤ちゃんだったので減数する必要もなく彼女も赤ちゃんも順調でした。そして、待ちに待った出産の日、私は彼女にずっと付き添いました。いよいよ生まれようとしている時、先生から「ほら、頭が見える?」と聞かれ、赤ちゃんの頭が見えた時、とても感動して涙がとまりませんでした。

上の子供の代理母とも、下の子供の代理母ともいまでもとても親しくしています。

よく「お腹を痛めて産んだ子」というフレーズを耳にしますが、主人は「こんなに(私達が)心を痛めて産まれてきた子なんだから、自分で産んだ子となにも変わらないよ。」と言っています。私もそう思っています。

代理出産は私達にとって、とてもすばらしいシステムだと思います。しかし、代理出産を選択するには強い意志と強い心が必要だと実感しています。普通の妊娠・出産もなにが起こるかわからないように、代理出産においてもなにが起こるかわからないという事を充分に理解しておく事がとても重要です。それから、なにより体力です。何回になるかわらない渡米、慣れないアメリカでの滞在、そして新生児のアメリカでの育児を乗り越えなくてはいけません。川田さんやIFCのスタッフの皆様にはいろいろな場面でよく助けていただきました。本当に感謝しています。

これから代理出産に挑もうとしていらっしゃる方はぜひ、代理出産は魔法のように簡単にはいかないという事をわかっておいて欲しいと思います。